重要ポイント
- 即応性は従業員に依存する: 潜在能力の高い従業員を定着させることによって、ビジネスの継続性と変化への対応力が確保されます。
- 明確なキャリアパスとパーソナライズされた学習により、定着率が向上し、リーダーシップのパイプラインが強化されます。
- 統合された人財システムは、インサイトを提供し、学習をパフォーマンスに結び付け、よりスマートなワークフォースの意思決定をサポートします。
即応性のあるワークフォースを構築するということは、スキルを転換し、変化に適応するだけではありません。真の即応性は、それを推進する従業員にかかっています。つまり、優秀な人財をエンゲージし、成長させ続けることが重要です。
一歩先を行く組織を実現させたければ、ただトレンドを追うだけでは不十分です。熱意があり、柔軟で、次に何が起こっても対応できるよう準備が整ったワークフォースが必要です。即応性があれば、優先順位の変化に適応し、予期していなかった課題にも対応し、自信を持って前進し続けることができます。
ここで重要なのは、即応性とは適応することであるとともに、優秀な従業員を定着させることでもあるという点です。潜在能力の高い従業員は、サポートが提供され、リーダーシップを担うための成長機会が与えられると、会社に留まる可能性が格段に高くなります。今必要なスキルを習得させつつ、将来のビジネスニーズにも備えるようにさせることで、従業員は、組織内での将来をより明確に描けるようになります。そのようなサポートがなければ、他の場所での機会を探し始める可能性があります。
この記事では、学習、キャリアアップ、ワークフォースのインサイトの即応性を高めることにより、優秀な人財を定着させるための実践的な方法を探っていきます。目標はシンプルです。従業員が組織と共に将来を描き、ビジネスが最も必要とするタイミングで新たな機会に踏み出せるよう、準備を整えるための支援をしていきましょう。
潜在能力の高い従業員とは
潜在能力の高い従業員とは、必ずしも現在のトップパフォーマーではなく、今後急に成長し、より大きな責任を担えるようになる力を持つ従業員のことを指します。その目立った特徴としては、次のようなものがあります。
- 学び、素早く適応する – 変化する環境の中で力を発揮し、同僚たちよりも早く新しいスキルを習得します
- 強力なリーダーシップの特性を示す – 正式な肩書きがなくても、他者に影響を与え、率先して行動し、ソリューションを中心にして従業員をまとめます。
- 強い願望と推進力がある – 成長を望み、挑戦を求め、現在の役割が要求する以上に自分を高めたいと考えています。
- レジリエンスを発揮する – 挫折があってもすぐに立ち直り、集中を保ち、前進し続けます。
- 戦略的に考える – 全体像を把握し、自分の仕事を組織の目標に結び付け、将来何が必要になるかを予測します。
人財を失うことのコスト
潜在能力の高い従業員が離職した場合、ただ欠員を補充するだけではない損失が生じます。その影響は組織全体に波及しますが、その影響が過小評価されることが少なくありません。
- 知識の消失
優秀な従業員は、単にスキルがあるだけではありません。お客様に関する長年のインサイト、ビジネスノウハウ、深い専門知識を持っています。そのような従業員が離職してしまうと、その経験の再構築に何年もかかることがあり、完全に回復しきれない場合もあります。
- リクルーティングコストの上昇
外部からの採用には、費用も時間もかかります。リクルーティング費用、オンボーディングのほか、その人物が完全に独り立ちできるようになるまでの長い期間が必要となります。その間、業務に遅れが生じ、残ったチームにはプレッシャーがかかります。
- パイプラインの枯渇
高い潜在能力を持つ従業員は未来を担う人財です。将来的には重要なリーダーシップの役割を担う可能性もあったため、離職によって、現時点でのパフォーマンスだけでなく、今後の後継者育成計画も失われてしまうことになります。
- 士気への影響
尊敬の対象となっている同僚の離職が、他の従業員の気づきのきっかけとなります。これまでは満足していた従業員でさえ、自分の将来について考え、新たな機会を探し始めるべきかもしれないと思い始めます。
したがって、従業員の定着には、従業員の短期的な満足度を上げることだけに留まらない意味があります。従業員が定着すれば、ビジネスの継続性が保護され、より強力なリーダーシップパイプラインが構築され、組織が次に何が起こっても対応できるようになります。
何が組織の足かせになっているか
優秀な人財を維持することがそれほど重要だとすれば、なぜ、それを実践するのが非常に困難なのでしょうか?多くの場合、それはいくつかの共通の課題に帰着します。
- 不明確なキャリアパス
従業員は、自分がどこへ向かっているのかを知りたいと考えています。成長機会が漠然としている、あるいは手が届かないと感じると、従業員は他の場所での役割を探し始める可能性があります。これには、調査による裏付けもあります。従業員の68%が、雇用主がスキルアップに投資すれば会社に留まると回答しており、リスキリングの機会があれば会社に留まると回答している従業員も65%にのぼります(SHRM、2022)。将来への道筋が見えなければ、最も優秀な人財にも離職の可能性があるということです。
- リスキリングの遅れ
役割と求められるスキルはかつてないスピードで変化しています。従業員が将来に必要なケイパビリティを身に付けることができなければ、行き詰まりを感じるリスクがあります。そのようなフラストレーションがきっかけとなって、より迅速かつ適切な能力開発を提供してくれる企業を探し始めることも少なくありません。このような状況は、組織のスキルギャップの拡大を招き、否応なく変化しなければならない場面で、対応の準備に遅れが生じます。
- 影響の明確な証拠がない
人財開発への投資は重要ですが、進捗を測定しにくい場合には、予算が疑問視されることがあります。分断されたシステムでは結果を追跡することが難しく、明確な証拠がなければプログラムが縮小されるリスクがあります。能力開発が遅れれば、従業員がその会社に留まり成長していく理由が減り、結果として、多くの場合は定着率が低下することになります。
Cornerstone Learn & Elevateが優秀な人財の定着にどのように役立つか
従業員が組織での将来を想像することができ、それを実現するための本格的なサポートを受けていると実感できれば、定着率は大いに高まります。ここでお役に立つのがCornerstone Learn & Elevateです。潜在能力の高い従業員が退職を考えるきっかけとなるような課題への対処をサポートします。
- AIを活用してパーソナライズされた学習
すべての従業員に、必要なスキルを必要なタイミングで提供できることを想像してみてください。パフォーマンスデータがキャリア目標と結び付くと、それが現実のものとなります。Cornerstone Learn & Elevateは、スキルギャップを特定し、パーソナライズされた学習パスを推奨することによって、従業員のスキルアップを迅速化し、新しい機会に備えられるよう支援します。
- 明確なキャリアパスと社内の人財流動性
従業員が自分の進むべき方向と、そこにどうやって到達するかを認識できれば、会社に留まる可能性は格段に高まります。Cornerstone Learn & Elevateは、学習、メンターシップ、プロジェクトを通じて従業員を意欲的な役割へと導き、マネージャーにキャリアに関する会話をサポートするためのツールを提供します。これらのツールを使用している組織では、社内昇進が82%増加し、従業員の定着率とリーダーシップパイプラインの両方が強化されています。
- 統合された人財エコシステム
分断されたシステムでは、結果を示すことは困難です。Cornerstone Learn & Elevateでは、学習、パフォーマンス、キャリアモビリティを1つの統合されたプラットフォームにまとめることができます。つまり、プロセスがよりシンプルなものとなり、インサイトが統合され、ワークフォースの見通しがより明確になります。
VitacoのLeeza Law氏は次のように語っています。「学習とパフォーマンスを結び付けることによって、従業員は、改善し次のステップに進む選択肢を得ることができます。従業員は、自然に、レビュー中に能力開発計画を完成させ、キャリアの中で次に何をしたいと思っているかを理解していくことができます。」
組織にとってのメリットは明白です。190万ドルの節約と、より迅速かつスマートな人財決定が実現するほか、次に何が起こっても対応できるワークフォースを得ることができます。
DHLの事例: 人財の準備状況を維持し、エンゲージメントを確保する
ドイツの郵便事業者であるDHLグループは、即応性が不可欠であることを認識しています。世界中に50万人以上の従業員を抱える同グループは、将来に備えながら、優秀な人財をエンゲージし、定着させる方法を探していました。
Cornerstone Learn & Elevateの導入によりDHLが実現した内容は次のとおりです。
- スキルギャップをリアルタイムで特定する
- パーソナライズされた能力開発を大規模に提供する
- 従業員の願望に合ったキャリアパスへと導く
その結果として、新しい役割に素早く移行し、急速に変化する業界において競争力を保ち、ビジネスと共に成長できるワークフォースが誕生しました。
DHLのCLOは次のように説明しています。「コーナーストーンを利用すると、学習とパフォーマンスをリアルタイムで追跡できるため、コーチングと能力開発に集中することができます。」
このような可視性により、従業員は自分の成長に自信を持つことができ、投資し続ける理由が得られます。
他にも多くの成功事例があります。
- Hyattは、利用可能な人財を可視化することで、よりスムーズに適材適所の人財配置ができるようになりました。
- キヤノンは社内採用を強化しました。これには、リアルタイムの履歴書やキャリアプランへのアクセスが一役買っています。
- Kemin Industriesは、即応性に優れたパフォーマンス管理アプローチを導入しました。これにより、従業員エンゲージメントが20%向上しました。
これらの事例は、可視性、パーソナライズされた能力開発、キャリアパスへの投資が、どのように従業員の定着率を高め、成長を加速させ、ビジネスの持続的な成功に貢献するかを示しています。
定着と即応性の密接な関連性
最後にまとめておくと、優秀な人財を維持するということは、単に離職率を下げるだけでなく、ビジネスニーズが変化した際に、ワークフォースが適応できるようにしておくことだと言えます。会社と共に将来を見通すことができる従業員は、会社に留まり、新しいスキルを磨き続け、最も重要な局面で臨機応変に即断できる可能性が高くなります。
定着は組織の即応性を支えます。即応性こそが、一歩先を行くビジネスの原動力となります。
潜在能力の高い人財は、組織にとって最も貴重な資産の1つです。そのような人財は、次に起こることを把握することができれば、組織に留まり、共に成長する理由を得ることになります。
定着に関する課題がなかなか解消されない理由については、eブック「埋もれる才能と隔絶された環境:努力はしているのに、なぜ成果が出ないのか?」をダウンロードし、従業員が組織に留まって成長していくことを阻害する障壁についてご覧ください。


